FLINTERS Engineer's Blog

FLINTERSのエンジニアによる技術ブログ

Scrumにおける透明性

広告ツールチームでスクラムマスターをやっています貫名です。

先日、odd-e Japanアジャイル・コーチの江端氏をお招きしチーム開発やScrumについての1日研修を実施しました。 学び多き時間だったのですが「透明性」について改めての気づきがあり、我々の現状について考え直してみようと思います。

そもそも「透明性」って

多くの人はスクラムガイドに出てくる3本柱で見たのではないでしょうか。

透明性 (英語:Transparency)
経験的プロセスで重要なのは、結果責任を持つ者に対して見える化されていることである。 透明性とは、こうしたことが標準化され、見ている人が共通理解を持つことである。


出展:「スクラムガイド」より

英語表記は異なりますが、CoreScrumに出てくるScrum Valuesでも触れられてますね。

Openness
As we work together, we express how we’re doing, what’s in our way, and our concerns so they can be addressed.


出展:「CoreScrum」より

自分の持っていた認識は、極端に言ってしまえば「ガラス張りの組織」でした。 あらゆる情報を隠さず公開し、必要であれば誰でもアクセスが可能な状態です。

実際に弊社内でも人事情報や個人情報など一部公開できない情報はありますが、 特に理由がない限りは、積極的にMTGの議事録は公開し、slackのPrivateである必要のないChannelもどんどんPublicに移行を進めました。

研修内での透明性の定義は

結論から言えば、自分の認識よりも具体性があり、目的まで内在された定義でした。

透明性とは、正しい情報が1カ所に整理してあり、次の行動が誘発されること

もちろんこれはScrum文脈で出てきた定義なわけですが「人の行動こそ予想できない」という前提に立ち、「チームが現状を把握すること」や「自律的なチーム」を実現することを考えるとまさにしっくりくる表現だなと。

この流れでもう1つ強く残ったメッセージとして「見に行く」を要求する情報は(相対的に)行動の誘発性が下がるかもしれない という話。 この辺の話とScrumボード(or KANBAN)がデジタル派?アナログ派?の話に繋がりそうだなと思い、早いとこ組織内の何かしらで実験せねば…と反省。

改めてチームや組織の透明性ってどうなんだ?

◯か✖️かというシンプルな話ではないですが、各情報が複数箇所で管理されてたり(例:デジタルとアナログでの二重管理)、行動を誘発するとは言い難いものだったり(例:補足説明なしでは解読できないビジネス進捗資料)がまだまだ存在するな…と。

これは情報発信者=悪!というのではなく、全体で共通したユビキタス言語を設定していくとか、壁など有限なスペースはどういった情報を優先的に掲示するかなどの方針を決めるといった、チームや組織全体の責任としての地道な取り組みが必要なのだという認識です。

まとめとして

今回は「透明性」という言葉についてフォーカスしましたが、我々が開発手法として取り入れる「Scrum」や「DDD」にもKEYとなる言葉はたくさん出てきています。

月並みではありますが、表面的な理解や個人的な解釈で「分かったつもり」にならず、その手法が生まれた背景や目的を出来る限り1次ソースに近いところから獲得出来るよう、1つ1つの行動を選択しようと思います。

それと同時に仮に間違った理解をしていても、自分の理解を言語化し、自分の無知さを常に受け入れ探究し続ければ、きっとどこかで正しい情報に辿りつくだろうとも信じています、信じたい。

さらに追記

このblogを事前に見てくれたPOの目線でいうと、顧客教育の観点でも「行動の誘発性」って大事って話が出たので追記。

一括りには言えない話ですが、未だ「階層型組織」は主流で、マネジメントからの指示系統を守った行動に我々は慣れがちです。 そういった前提を理解しながら、ステークホルダーに我々のやり方を押し付けるのではなく、説明責任を果たしていくのも大事だね、と。

そもそも「分かる」と「出来る」は違うので、各役割ごとに手の届く範囲から改善を進めていきたいと思います。